海くんとも、ちゃんとしたいと思った。

セックスが気持ちいい物だと知ってしまって。

 あたしは…海くんとも、ちゃんとしたいと思った。

 だけど、それには…

 お互いの精神的な物を…ストレスを…取り除かなくちゃならない。




「海くん…入っていい?」



 書斎のドアの前で声をか sex けたけど…返事がない。

 ゆっくりとドアを開けると…海くんは、机に突っ伏して眠っていた。



「……」



 疲れてるよね…

 昨日、遠くの現場から帰って来てすぐ、また違う現場に行って…

 今も、こうして目の前にはたくさん書類みたいな物があるし…




 …あたし…

 本当に自分勝手だな…

 海くんがこうやって働いてるのに…どうして、あたしと出来ないの?って…そればかり。

 海くんを責めて、他の男と寝て…それを悪い事とも思わないなんて…




 …海くんは優しい人だ。

 もしかしたら、今も紅美ちゃんを想ってるかもしれない。

 だけど、それはきっと誰にも言わないし悟られないようにすると思う。



 あたしのために…。

 あたしと、進むために…。




「…海くん。」



 肩に手を掛けて、海くんを起こす。



「…あ…ああ…寝てたか…」



 ゆっくりと起き上がった海くんは、眠そうに髪の毛をかきあげて。



「どうした?…眠れない?」



 時計を見て、言った。



「……一緒に…寝てくれる?」



「……」



「何もしなくていいの。ただ…一緒に眠りたいの。」



「…いいよ。」



 これ以上…海くんの負担になりたくない。

 そう…思った。




 一緒にベッドに入って、海くんはあたしをゆっくり抱きしめて。



「…おやすみ。」



 額にキスしてくれた。



「…おやすみなさい。」



 本当は…こうしてるだけで、身体が疼いた。

 抱かれたい…

 海くんに、抱かれたい…




 だけど、本当に…もう、自分に呆れた。

 このままじゃ、海くんは壊れてしまう。

 本当に…壊れてしまう。

 あたしが…壊してしまう。




「海くん…」



「ん?」



「あたし…」



「うん。」



「…海くんが留守の間に…男の人と寝た。」



「……」



「……」



「……」



「……どうして、何も言わないの?」

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